うんどう

東北芸術工科大学の柳川郁生の周りで展開する『うんどう』のブログです。
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2010-07-16

つぶやきカルテ(7月15日)


 今回で夏休み前、最後の「うんどうのオフィスアワー」になりました。

 前回の「つぶやき」と、今回の「オフィスアワー」で、だいぶお母さんたちに課題をつくってしまいましたが、そのことでみんなが「つぶやきだした」と聞いて少し「ニカッ」としています。
 ということで、7月15日の「つぶやきカルテ」です。
 ……どんなふうに伝えようかな、ということで今回はいつもの「つぶやきカルテ」の形式を無視してつぶやきますネ。

 今回の「うんどうのオフィスアワー」は、お母さんたちに自分たちの願いを考えてもらうことからスタートしました。

 そしてだいち組のお母さんたちは、跳び箱の開脚跳びのために脚をパッと開くようなうんどうをしてほしいと願い、こんなふうに自分たちが跳び箱になったりしました。

 それからこんなふうに跳び箱を置いたりしていました。

 ほし組とたいよう組のお母さんたちは、先日の学生たちのつくった『ポンクリン』の坂道を参考にデバイスをつくって、そこで前転をしてほしいと願っていました。

 ほかには鉄棒が置かれ、こんなことや、

 

 こんなこともしていました。

 そしてかずよさんいづみさんがいろいろと試行錯誤をしながら場づくりをしてみたら、子どもたちはこんなふうに運動し始めました。

 それからこんなジャンプも登場していました。
 そして、お母さんたちの願いを子どもたちに伝えることはできたのでしょうか?
 現在7月19日午前1時26分、続きはまた・・・・・・
 そして続きです(7月21日午前9時51分)

 なんとなく様子を見ていると、子どもたちは思ったほどお母さんたちの「願い」に気づいていない様子でした。それぞれのデバイスでの運動もちょっとさびしい感じです。

 そこでお母さんたちに「願い」を伝えてもらおうと、説明とデモンストレーションをお願いしました。

 ……意外と難しかったようです。

 でもきっとこれでお母さんたちがくじけてしまっては、子どもたちの「うんどう」の世界は広がっていきません。今回のこの出来事をきっかけに、次のステップへと進んでみたいと思っています。

 どんなことをするのかはまだ決まっていません。だってこのオフィスアワーという取り組みは、そしてお母さんたちのまなざしによって子どもたちの「うんどう」の世界をつくるという試みは、おそらく(大げさにいえば)世界のだれもやっていないことですから。すごくささやかな試みではありますが、このこども芸大で展開しているこのオフィスアワーによって、新しい発見が生まれてくるのです。

 ですから、正しいやり方なんて書いてある指導書があるわけではありません。なにが正解かを探すのではなく、どんなことができるのかを探さなくてはいけないのです。
 なんていろいろと考えていたら、2004年のこども芸大ができる前に考えていたお母さんたちに対する柳川の勝手な願いがでてきました。

 こんなことです・・・・・・

 ・母なる大地 (理解者)
母親こそリスタであり、ペタゴジスタ
芸術と自然、そして人間を理解する母親

 ・母なる大地 太陽(先導者)
子どもたちの未来を照らす役割
子どもたちになにかを伝える存在であって欲しい

 ・母なる大地 地球(存在者)
一人の人間として存在する
生き方を持っても良いのではないか?

 やはり子どもたちの最大の理解者はお母さんであるという考えは今も変わりません。だから子どもたちにまなざしを向けてくださいとお願いしています。
 子どもたちの未来に大きな影響を与えるのがお母さんであるという考えも変わりません。だから「願い」を伝えてくださいとお願いしています。
 そしてお母さん自身が一人の人間であるという考えも変わりません。だからブログ上では○○さんと個人名で書かせてもらっています(これはわが家のさおりさんのこだわりでもあります)。
 
 私が勝手に願っていることではあるけれども、
なんだか変わらずに願い続けていたんだなということを、
たまたま見つけてしまいました。
 子どもたちはどんどん成長していっています。だからこの場をつくる私を含め、お母さんたちもそれに合わせて、いやむしろそれ以上に成長していかなければいけないのかもしれません。
 自分自身が成長を止めて、あとは人任せにするのではなく、一緒に育ちあいましょうよ!ということで、8月の再開を楽しみにしています。

 「難しい」、「悩んでしまう」なんて思ったら、それは成長のチャンスだと考えて取り組んでみましょうよ。

 私だってこのオフィスアワーがかなりのプレッシャーになっています。

 「難しい」と思っています。
 「どうしよう」とつねに悩んでいます。

 本当にどうしてこんなに1週間のウェイトをここにおいているんだろうというぐらい、どうしてこんなにオフィスアワーのことを考えているんだろうというぐらい、日々の生活を送っています。

 でもきっと、もっともっと楽しい世界をつくれる、みんなが育ちあい、幸せを感じる世界がつくれると思っているからしかたがないのかなと思っています。

 ぜひぜひ8月のスタートは、お母さんたちみんなと悩みたいと思っていますのでよろしくお願いします。
 それまではみなさん、悩まずに明るく楽しい夏休みを過ごして、元気をいっぱい貯めておいてください。
 
 私も一生懸命夏休みを楽しんで、とにかく明るく元気なエネルギーを貯めて、みなさんとお会いしたいと思っています。

 なんだか日をおいて書いたので、よく分からないメッセージになってしまいましたが、そういうことでした(笑)

2010-07-10

つぶやきカルテ(7月 8日)

つぶやきカルテ2010(7月 8日)
 今週末は国体予選があり、金曜日から日曜日まで山形市の総合スポーツセンター(通称スポセン)で大会の役員(審判長 兼 副理事長 兼 技術委員長)を務めています。
 なのでまた多少遅れ気味ですがブログアップです。

 では、7月 8日の「つぶやきカルテ」です。
1.どんなことをしていましたか(子)

 長ーくマットをつないで走るコースができていました。そこで私(柳川)の方で提案して、踏み切り板を3つ置いて少しアクセントをつけてみました。

 お母さんたちが、子どもたちのリクエストにこたえて高い場所をつくっていました。このデバイスがねらい(願い)としている運動の感覚は……

こんなふうに跳び箱が置かれていました。この跳び箱のねらい(願い)は、開脚跳びをしてほしいのでしょうか?もしそうだとしたら、開脚跳びに必要な運動の感覚は子どもたちに伝えられているのでしょうか……

 高〜く積まれた跳び箱が置かれていました。ここでのねらい(願い)は……

 高い鉄棒にブランコがつくってあります。高い鉄棒が楽しい遊び場になりました。ではここでどんな運動の感覚が発生し、楽しめるのでしょう……
2.どんなこと(関わり)をしていましたか(母)

 
 なんだかまた注文をつけてしまいましたが、ぜひぜひ次の段階へステップアップしていきましょう。
 そのためには、まずこの「まなざし」を原点として思い出してみましょう。なんだか難しくなったり、迷ったり、よく分からなくなったら、この感じにもどってみてください。そして、またどんなことを展開していこうかなと考えてみてください。

 なんとなく理解していただけたでしょうか。

 学生たちの共通演習「芸術と子ども」の授業も、みんな真剣に考え、話し合い、子どもたちのために学生自身が深く学んでいます。「楽しければいいや」、「めんどくさいから、これぐらいでいいんじゃないの」、「大変だから、もっと簡単にしよう」そんなふうに考えている学生はいません。子どもたちをもっともっと楽しませるため、「うんどう」の感覚をもっともっと楽しんでもらうため、今月はほぼ毎日のように研究室の周辺でワークショップの準備作業をしています。子どもたちのためになにかをしようとしていることが、自分たちのためのなにかになっているんですネ。だから集まって作業することがさほど苦じゃなくなる(たぶん)ようです。

 なにかを伝えるということは、とても地道で大変なことですが、まだまだオフィスアワーは後期も続きますので、じっくりと取り組んでいきましょう。学生は半期の勝負ですが、お母さんと子どもたちには3年間もあるのですから。

 今回ひとつだけ柳川式の工夫を入れてみました。
1・2・3・4・5・6・7・8・ジャンプ!
1・2・3・4・5・6・7・8・ジャンプ!
1・2・3・4・5・6・7・8・ジャンプ!
って感じのリズムで踏み切り板を設置していくと、子どもたちのストライド(歩幅)を広げられるんじゃないかな。そのためには、それぞれの踏み切り板同士の間隔を同じにするのではなく、ちょっとずつ広げておけば同じリズムで走るなかで自然とストライドが広がるのではないかなと思ってセットしてみました。
 すると子どもたちは、するするといきおいをつけて走ることができたのではないでしょうか。ただ単に走ることであっても、何となく体の感覚の中に心地よさがつくられていくことに気がつくと楽しくなってきます。だから何度もくりかえし走っていき、少しずつ軽やかになる自分の走りを実感することができたのではないでしょうか。この感じを動感志向体験といい、子どもたちが自分たちの運動感覚と向き合って運動している現象としてとらえています。

(いろいろ質問もありましたが、速く走るための工夫ではありません。あくまでも心地よく走るための工夫をしたつもりでいます。「かけっこは速く走る」という根強い概念は、今ここでは考えていません。)
3.運動面において気づいたこと、変化はありましたか
4.次回のオフィスアワーに向けて

 もう夏休みに入ってしまいますが、またじっくりとわが子の運動にまなざしを向けて、形としての場づくりではなく、おたがいの願いをかなえる場づくりを目指していきましょう。
 そしてまたいろいろな疑問もでてくると思います。さまざまな悩みも生まれてくると思います。だって柳川がいつもそうですから。
 うまくいかなければ「どうしたらいいのか」何日も悩み、うまくいっていれば「本当にこれでいいのか」と悩み、常に悩んでいます。だけどそれが「考えること」だと思うようにしているので、なるべく逃げないように悩むことにしています。
 ぜひぜひみなさんも一緒に悩み(考え)ましょう。みんなで考えればきっと悩みではなくなってくるはずです。

 なんて、なんの話をしていたのでしょう、今回のつぶやきは……

 なんとなくまきこさんの‘つぶやき’に影響されてしまったかな。でもわが子に向けていたはずのまなざしが、なぜかつながっていってしまうのがこのこども芸大のオフィスアワーです。
 お母さんたちの背中の上を、あの笑顔で子どもたちが転がるためには、みんながつながっていないとできないことだったりします。ぜひぜひ何が見えてくるのか、様子をうかがってみましょう。ということで……
 今回のお母さんたちが準備したものは、少しねらいというよりも『願い』という意味でなんだかあいまいだったのではないでしょうか。子どもたちに「こんな運動をしてほしい」、「こんな運動の感覚を楽しんでほしい」、「あんな運動ができるようになるために、こんなことをしてみてほしい」など、具体的な『願い』のないまま場づくりが終わってしまっていたのではないでしょうか。
 ブランコを置いて、鉄棒を置いて、山をつくって、そしてシーソーを置いたり、砂場をつくったりしたら楽しい公園ができ上がります。きっと子どもたちは喜びます。
 でもこのオフィスアワーは、『うんどう』の場をつくります。子どもが喜ぶではなく、子どもたちが運動の感覚を楽しむことをねらいとして、そしてさらに新しい運動感覚との出会うことでさらに運動が楽しくなることが願いであり、そこに立ち会うお母さんたちと子どもたちがその喜びを共有することをテーマとしています。

 子どもたちはこのオフィスアワーに喜んできてくれるようになりました。運動する力も育ってきました。工夫をする志向性も育ってきました。
 ですからそろそろお母さんたちもここで考え方に工夫をしていかないと、子どもたちの育ちを応援できなくなってしまいます。またお母さんたちを悩ませてしまうことになりますが、ここで考えることをするのか、このまま楽しいだけのままにしておくのかで、せっかくここまで来たお母さんたちの取り組みを深めていくことができるかどうかに大きく影響をします。ぜひここでチャレンジして、子どもたちと一緒に楽しい『うんどう』の世界を展開していきましょう。

 いつでも私にとってこのワークショップの始まりの風景はこんな感じなのです。この春にこども芸大を卒業した子どもたちがほし組のときの情景と同じことが、今ここにもあります。変わらないこの情景が、このオフィスアワーでつくられたひとつの宝物だと思っています。

2010-07-04

つぶやきカルテ(7月 1日)

つぶやきカルテ2010(7月 1日)

 少しブログアップが遅れてしまいました。
体育運動学演習のレポート指導期間に入ったのと、先週の金曜日は主宰するフリック体操クラブの練習がイレギュラーで入ってきたため手をつけることができませんでした。

 さらに追い打ちをかけるように気がつけば

←って感じで、カゼをひいていました。

 こども芸大でも「手足口病」が流行ったりしているようですね。
 「手足口病」というと思いだしますが、私がまだ20代半ばのころ、当時指導に行っていた「モンテッソーリ子どもの家」でのことです。なぜか子どもの病気だと思っていたら移ってしまった私でしたが、とにかく手のひらが痛くコップが持てません。それで大学のそばの病院に行ったのですが、待合室でしばらく待っていたら「やながわいくおく〜ん♡」と呼ぶ声が、その方向を見てみると看護師さんが明らかにその視線の先で子どもを探しています。「あ、あの、僕なんです」と申し訳なく返事をしたことが、懐かしく思われます(笑)

 ということで7月 1日の「つぶやきカルテ」です。
1.どんなことをしていましたか(子)


 フープを置いてケンケンパです。

 前回もやった後方へのブリッジ返しです。
後方へ回る感覚・逆さになった自分の体位を感じとる感覚・肘を張って支える感覚など、さまざまな感覚があるから意外と子どもたちは何度も繰り返してくれるのかもしれませんね。

 走っていってとびのるマットですが、前回同様こんなふうに前転する子どもも出現しはじめました。

 ここもとびのるマットですネ。

 そしてここは柳川がちょっと組み替えて、踏み切り板を使ったジャンプの後に、開脚跳びを意識したデバイスを設置しました。「トン。トン。手ーッ。パッ。」て感じでやると、開脚跳びの運動メロディーが生まれてくるかな?ということを試してみました。

 鉄棒もありました。
のっかって前転をする。ぶら下がって自分なりの運動をする。子どもたちそれぞれが自分で運動を選んで行っています。

 こんな鉄棒もありました。

 そして定番のこんな跳び箱も。
ここでお母さんたちが願う運動を子どもたちがしだすのはまだ先かもしれませんが、少しずつ少しずつ伝わってくると思います。そう今すぐでなくていいんです。

2.どんなこと(関わり)をしていましたか(母)

 このオフィスアワーを立ち上げた時にまず一番苦労したことは、いかにお母さんたちを子どもたちの「うんどう」のそばに連れてくるかでした。
 子どもたちにどんな運動をさせるかではなく、体育館の壁から離れてこないお母さんたちのまなざしを、どう変えていくのかが大きな課題でした。だから柳川はつぶやき始めたのです。
 そして今回は、

 こんなことがきっかけになったのか、

 こんなふうにお母さんも運動を体験したからなのか、

 とってもとっても親子の距離感が近かったように感じました。

 どんどん優しくなるお母さんたちのまなざしのもとで運動する子どもたちは、

 安心して運動に取り組むことができたのではないでしょうか。

 お母さんのまなざしを感じながら運動をすることで、

 なんだかその場にいた人にしか伝わらないような、すごーく主観的なもののとらえ方のようですが、「うんどう」の世界はそれでいいと思っています。

3.運動面において気づいたこと、変化はありましたか

 ここは「運動教室」ではないので、今日はあれができた、今日はなにを何回やった、なんて目に見える客観的な変化が毎回見られるわけではありません。

 でも、少しずつ少しずつ「運動」をするっていうことの意味を知ると、「運動」に意識を向けて工夫をすることも分かってきます。

4.次回のオフィスアワーに向けて

 すると、やってみたい運動が見つかってきたり、新しい魅力的な運動に気づいたりすることもできるのではないでしょうか。

 だから自然と子どもたちは夢中で運動に取り組み、「あれをしなさい」、「これに挑戦しなさい」ではなく、自ら運動に取り組んでいく姿勢へと変化しているのではないでしょうか。
 そんなことで今回登場した倒立(逆立ち)は、次回からどう展開させていくか楽しみですネ。

 それからオフィスアワーのあとで学生とチャレンジしたバク転も、子どもたちの目にしっかりと写りました。こちらも続けて取り組んでいくのか、様子を見ていきたいと思っています。

 お母さんたちも、子どもたちのリクエストをさりげなく聞いておいてください。

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