つぶやきカルテ2012(7月 5日)
朝方から荒れ気味の天気で、今回は少なめの人数でのオフィスアワーになりました。
こういう時がお母さんたちになにかを伝えるチャンス!
「なんかいいきっかけはないかな〜♡」なんて感じで様子をうかがっていました(笑)
1.どんなことをしていましたか(子)
まずは平均台から……
なんとなくこの台をすぐに平均台としてしまいますが、細い台の上で習得するバランスの感覚って今必要なんでしょうか。
動きを制御することよりも、もっとうんどうの感覚を発散させるようなダイナミックな感覚につなげたいなと思ったりしています。
でもこんなふうにいろんなうんどうをこの台の上で展開する子どもたちのアイデアに出会うと「う〜ん…これも正しい」なんて思ってしまいます。
またこれも悩み(研究し)ましょう☆
長〜い「ホネホネトンネル」ができていました。
お母さんと子どもたちのデバイスをつくろうという共有の意識の中からつくられたものです。
少しずつ場づくりに参加し始めた子どもたちも楽しみですね。
ただこれも「這い這い」から4つ足などへつながっていくような工夫がこの後に展開できるといいですね。
走っていって跳び乗るデバイスです。
お母さんたちのセットしたデバイスに坂道マットをつなげて、踏切直前の軽いステップを自然と引き出してみようと思いました。
大人にとっては平らなふみきり板も、子どもたちにとってはちょっと高くなった台になっていたりします。
だからふみきり板の上に乗っかったことでそれまでのスピードがストップしてしまいます。
なのでちょっと踏切直前を高くすることでふみきり板に上から入れるようにしてみました。
……この違いわかりますか?
それからマットを丸めて「後ろ返し」のデバイスです。
大きなロールだとうまく支えられない子どもたちの様子を見て
小さなロールを準備したりしてくれました。
こんな工夫の心に“愛”を感じますね。
おかげで新たなこんな運動が発生しました!
そして鉄棒のところには「逆上がり」のデバイスが……?
2.どんなこと(関わり)をしていましたか(母)
ちかさんがつくった「逆上がり」のデバイスをきっかけにお母さんたちと話をしました。
「逆上がり」に必要な運動や感覚はなんでしょう?
いろんな運動がお母さんたちから出てきました。
全部正解です!
「逆上がり」ってことだけを運動の課題にすると、‘できた’とか‘できない’といった結果ばかりが浮き上がって見えてしまったりします。
でもこうやって考えると「逆上がり」の中にはいろんな運動の要素があるんです。
ここに書いたものはその一部で、ほかにもさかさまになった時に自分の前後を感じる感覚や、
自分の体をゆする感覚、鉄棒をタイミングよく引っ張る感覚、
自分のけりをしっかりと体に伝える感覚、体幹をそらせる感覚などなど、
さまざまな運動感覚が内在しています。
だからこうやって支えることや
回ることや
鉄棒を使わなくたって、後ろ向きにコロンとひっくり返ること
ピョ〜ンと跳びあがることだって
「逆上がり」とつながっています!
ですからすぐに「開脚とび」や「逆上がり」、「側転」や「バク転」
なんて既成の課題にすぎないでやっていきましょう。
そしてだいち組くらいになって子ども自身がそんな課題目標を持った時に、
いろんな運動の感覚(動感素材)を持っていられるような準備をしておくのが今なのです。
たとえだいち組であっても、子ども自身が運動課題を意識しないのであれば、
そのままいろんな動感素材を体験し続けていくことが大事なんです。
そうするときっと
「うんどう(運動)って楽し〜い♡」って思えるはずです。
3.運動面において気づいたこと、変化はありましたか
たいよう組の子どもたちが、デバイスづくりに参加してきました。
ほし組の子どもたちが、
たいよう組やだいち組の子どもたちと同じように運動をするようになってきました。
これは子どもたちにこの時間に起きている現象が見えるようになり、
理解できるようになってきたという変化です。
すぐに「できる」ようになってきたなんて評価してしまいますが、
そうではなくて「わかる」ようになってきたということです。
お母さんたちの気持ち(ねがい)が伝わると、
子どもたちは「わかる」ようになるんですね。
4.次回のオフィスアワーに向けて
少ない人数だと私〈柳川郁生)のねがいを伝えやすくていいですね。
でもたくさん来てくれるのもうれしいので、
次回またみなさんの参加をお待ちしています。
たぶんあと2回ぐらいで夏休みですよね?
そんな中で子どもたちが「おや♡」って感じで
いい運動感覚に出会った瞬間を見つけたら、
ニコッと目を見てあげてください。
見つける“愛のまなざし”、伝える“愛のまなざし”で
子どもたちのうんどうを包みこむのが、
この『うんどうのオフィスアワー』のねがいです。
だからしゅうたろうくんにフワッとした感覚が発生した瞬間を見逃さないようにして、
その瞬間をさちこさんのまなざしで印象づけてあげてください。
その発生の瞬間を見逃さないことを運動学の世界では
「現行犯を捕まえた!」と言ったりします。
あ、それから今回紹介した『柳川式(?)逆上がり』、
まだまだ初期のころの考えですが
ココ(YouTube)[ikuyana190]で公開しています。
お時間があったら……
つぶやきカルテ2012(6月28日)
久しぶりにたくさんのお母さんと子どもたちが、
元気に体育館にやってきてくれました。
これでこども芸大のみんなも復活って感じですね♡
1.どんなことをしていましたか(子)
「グラグラするつり橋のようなデバイスをつくりたい。」
というともこさんのアイデアをもとに、こんなふうにつくってみました。
子どもたちはグラグラとする不安定な感覚を楽しんだりそれをジャンプに利用したりなど、それぞれにいろんな楽しみ方を見つけていたようです。
そしておそらくそのままでは、きっと子どもたちはこのデバイスをハンモックのように利用することを発見してしまうと思ったので、
その先に興味を示して自然と誘われてしまうようなデバイスをつなげようと考えました。
そこで子どもたちの目に魅力的に映るであろう
‘いつもの’山(壁)をつくりました。
斜度もなるべくチャレンジしたくなるように急な角度にしました。
なんとかそのねらいは通じたようで、つり橋の上でお昼寝をする子はいませんでした(笑)。
みんな壁を登りきると、つぎつぎとその先のデバイスへ進んでいきました。
ヨカッタ、ヨカッタ。
その次はホネホネトンネル(?)で『支える』感覚を導きだし、少しずつ手のひらが花のように開いてくるのを楽しみに待ちます。
このデバイスもお母さんが中心になってつくっていました。
そしてふみきり板をならべて『跳ぶ』感覚のデバイスです。
ここでも1枚目のふみきり板と2枚目のふみきり板に距離を離したり、高低差をつけたり、といった工夫をしたり、3枚目のふみきり板を置くのか置かないのかなど、いろいろと考えていました。
その結果、絶妙なアクセントのデバイスができたのではないでしょうか。
でもそのお母さんのねがいが伝わりきらなかったこともあったので……
こんなふうに平均台を置いたり
お母さんと手をつないでもらってフワッと跳びあがる感覚を導き出してもらったりしました。
そのあとはこんなふうに壁をのりこえるデバイスがありました。
そしてそのあとをつなげるデバイスがつくられていなかったので、風船をぶら下げて手で引き上げることによって『跳ぶ』感覚のデバイスをつくってみました。
ここではしゅうたろうくんやほし組の子どもたちを中心に、コツコツと“うんどう”と向きあう場面が見られました。
それからコース外では、課題(開脚とび)に向かって真剣に取り組む子どもたちの姿もありました。
こういった直接的な課題は、さまざまな“うんどう”体験を通してある程度の準備ができた段階で取り組むのがよかったりするので、さりげなくコース外で展開するのはいいかもしれませんね。
2.どんなこと(関わり)をしていましたか(母)
お母さんたちからいろんなアイデアが少しずつ出るようになってきました。
つくりながら相談してもらえると
子どもたちの“うんどう”に対しての“ねがい”を共有できるので、
どんどん誘ってください。
そんなやりとりをすべてのお母さんたちに広げていけば、
なんとなく場の意味が伝わらないで悶々としていたりすることが減ってくると思います。
そして共有の意識(ねがい)で子どもたちの“うんどう”をかこんであげれば、
きっとそれが子どもたちに伝わると思います。
そんな世界に少しずつ少しずつ近づけていくのが
この『うんどうのオフィスアワー』の時間です。
焦らずにいきましょうゆみさん。
そんなときは一緒に場を眺めてみましょう。
それから
お母さんから直接的に感覚を通して子どもたちに“ねがい”を伝えてほしくて、
手をつないでジャンプをしました。
そこでのゆきこさんのまなざしですが、
「はづきのタイミングに合わせていると、支える手の母もはづきを引き上げる力は要らないことに気づいた。」と書いてありました。
そうなんです!
お母さんの“ねがい”がうまく伝わったときは、
お互いが気持ちよくなります。
それを運動学では“共鳴する”といいます。
柳川郁生も体操の指導で補助をしていると、
「うちの子重いのにどうもスミマセン。」とか、
「よく持ち上げられますね〜。」なんて言われます。
でも実はその子の運動の通り道をうまく見つけ出して、
そこへつなげていくと持ち上げる力なんて必要ありません。
なんとなく水の流れを利用しながら、その流れの方向を変えていくのが体操の補助なんです。
力が必要なのは危ない!と感じて運動にブレーキを掛けたり、
けがをしないように守ってあげる時だけなんですね。
そんな感覚を導き出して共鳴できたゆきこさん。
スゴイじゃないですか☆
やっぱりまた手をつなぐデバイス、次回も考えてみたいですね。
共鳴できた瞬間のあの感覚!たまらないですよ〜♡
3.運動面において気づいたこと、変化はありましたか
お母さんたちの“ねがい”のこもったデバイスを通して、
子どもたちはいろんな運動感覚の体験ができてきました。
小学校へ行ってから器械運動をしたり、球技をしたり、かけっこをしたり、いろんな運動に必要な準備が少しずつ始まっています。
今回の解説の中で「ふみきり板の使い方(跳び方)を覚えたり、
手でしっかりと支える感覚を習得することで、
跳び箱(開脚とび)を跳ぶ準備ができていくんですよ。」という話をしました。
すると「うちの子は上手にできたから、来週は開脚とびをさせよう。」
なんて考えがちですがもう少し待ちましょう。
じっくりじっくりまなざしをむけて観察していくと、
もうそろそろかなというタイミングが見えてきます。
それが見えていないのに、
もしくはそれを見つける力がないのに、
子どもたちを次の段階へ進ませようと焦ると良い結果には結びつきません。
「うん!今なら大丈夫!!」とお母さんが確信を持った時に、
もしくは「今なら最後まで責任を持ってつき合ってあげられる!」と判断できた時に、
そんな直接的な課題に“ねがい”をこめてみてください。
跳び箱が跳べた!逆上がりができた!というのはとってもわかりやすい客観的な結果であって、
そこへたどり着くまでのプロセスを見えるようにしていきたいというのが、
この『うんどうのオフィスアワー』が目指す促発の世界です。
4.次回のオフィスアワーに向けて
もっともっとお母さんたちと“ねがい”を共有できるよう、
子どもたちの運動の現場で話をしましょう。
遠慮せずにいろんな疑問や発見を伝えてください。
よろしくお願いします。
は〜、また22時を過ぎてしまいました。
早く帰って晩ごはんを食べるためにも、明日の授業に備えるためにも、
今からコブログを更新して帰りま〜す。