うんどう

東北芸術工科大学の柳川郁生の周りで展開する『うんどう』のブログです。
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2010-10-04

つぶやきカルテ(9月30日)

つぶやきカルテ2010(9月30日)
 またしばらくあいだが空いてしまいましたが、オフィスアワーの再開でした。
1.どんなことをしていましたか(子)


 お母さんたちと、というよりはむしろお母さんたちが夢中になってフラフープに挑戦です。
 できるようになるための工夫(動感志向体験)や、できた時の心地よい感覚を体験することはとても大切です。その嬉しさを子どもたちに伝えたいと願うことが、うんどうの世界を創ります。

 お母さんたちが運動のデバイスを準備しはじめると、自然と子どもたちも協力しています。だれに言われるともなく、参加しています。
 ここがどんな場なのか、自分たちがここをどんな場にしたいのか、そういったみんなの願いのようなものが見えてきているということですよね。

 そしてお母さんたちが鉄棒を準備してくれました。

 その先に平均台渡り。

 そこから踏み切り板を使って、ジャンプ、ジャンプの連続から

ボールタッチです。

 そのあとは、高い台に跳びのってからの

跳び下りジャンプでお母さんの手にタッチです。

 そして角を曲がったところで、今度はブリッジ返しです。

 その先には跳び箱が置いてあります。

 そして次のコーナーをぬけてコーンのまわりを走り抜けると

こんなふうに跳び箱が置いてあります。

 そして最後のコーナーをぬけると、こんなふうにフープを使ってケンケンパです。
2.どんなこと(関わり)をしていましたか(母)


 お母さんたちの手助けが、良い加減になっています。一人でやっても大丈夫、ちょっと危ないけど体験するにはちょうどよい危険度なんてことを見極められるようになってきています。つまり目の前で行われている運動を質的にとらえられるようになっているのです。
 だから子どもたちの運動を見ていて、思わず「スゴイ!!」という声がでてしまったり、「しなやかだよねー」なんていう運動の質を感性的にとらえた言葉が出てきたりしています。
 「しなやかだよねー」という言葉は、絵画や景色を見て「きれいだよねー」と感じる感性と同じことです。「スゴイ!!」という感動も、作品や自然の景色と出会って圧倒される感覚と同じものだと思います。
 そんな感覚が、お母さんたちの中に生まれてきたり、再生されてきたりしているのではないでしょうか。

 そしてこんな重いマットも、お母さんたちは厭わずに運んでセットします。
 するとついに

お母さんたちがセットするコースが、おそらく今年度初めて自然と体育館の中央のラインを越えました。これは、いままで「コースという枠の中」で子どもたちの運動を考えていたものが、子どもたちの運動を考えていたら大きなコースになったという変化が起きたということです。「記念すべき第一歩がこの日踏み出されました。」なんてお母さんたちに伝えましたが、子どもたちののびのびとした運動を引き出すためにはどれぐらい広いスペースを確保すればよいのか、ふわっと空中に跳びだすためにはどれぐらい助走の距離が必要なのか、そんなことを探ってみるのも今後の課題にしてみてください。短すぎず、それでいて長すぎない、そんなちょうど良さをお母さん自身の動感志向体験を通して探ってみると面白いですよ。
3.運動面において気づいたこと、変化はありましたか


 支えるという感覚がかなり習得されてきました。
 この感覚が鉄棒や、跳び箱での運動にもひろがっていくと、やがてだいち組になった時にもっともっといろんな運動ができるようになっているはずです。

 跳び下りた時の着地の様子に注目してみてください。
 はじめのうちはベチャッとつぶれてしまうような着地だったものが、うまく弾むように受け止められるようになってくる(運動弾性)と

この感覚が連続ジャンプをするときの感覚とつながってきます。
 跳び下りるときの高いジャンプではなく、着地の時の柔らかい受けとめの感覚に注目してみるのも面白いですよ。
 それからお母さんたちのカルテの中に、順番を守ったり、前の人が終わるまで進まないで待ったり、鉄棒で前の人の運動がぶつからないように避けたりなんてことが書かれていたり、先生(私)の動きを見てまねするようになったなんてことが書かれています。
 順番を守るようになったり、前の人が終わるのを待つようになったのは、この先に自分が行う運動を予期することができるようになったということです。そのためには今動き出すのではなく、前の子がいなくなってからの方がやりやすいということを理解したということです。
 そしてこれが、やがて「運動」のなかで『過去把持』や『未来予期』といった今動いている運動というものは、過去の感覚と未来の感覚を感じとりながら行われているのだということと結びついていくのだと思います。
 それから人の動きを理解できるようになるということも、これから少し意識して取り組んでいってみたいと思います。私の動き、友だちの動き、ちょっと年上の子どもの動き、そしてお母さんの動き、いろんな動きがこの場には存在します。ぜひぜひそれをたくさん利用していきましょう。
4.次回のオフィスアワーに向けて
 子どもたちが感じている運動の楽しさを聞きだしているお母さんのコメントが増えてきました。どんどん子どもたちの運動に関する志向性が理解できるようになってきたのだと思います。というより一番理解できるのがお母さんかもしれませんが……その理解をもっともっと運動感覚の世界へ近づけていきたいなと思います。
 まずは「親子・運動の日」がありますが、それが終わったらまた半年かけてじっくりじっくり取り組んでいきましょう。
 
 あせってもしょうがない。1年、2年、3年かけてその時その時の喜びを見つけていくのが私のやり方かもしれません。

ということで、時間がかかってスミマセン。

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