うんどう

東北芸術工科大学の柳川郁生の周りで展開する『うんどう』のブログです。
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2010-06-25

つぶやきカルテ(6月24日)

 先週は突然休講にさせていただき申し訳ありませんでした。おかげさまで中体連の大会も無事開催することができ、指導している子どもたち5人全員が、県大会へ出場できることになりました。義務教育という現場で催している大会なので、さまざまな配慮が必要なのですが、まずは子どもたちにとって意味のある大会になったのでホッとしているところです。

 さて今回の『うんどうのオフィスアワー』は、どうだったでしょう。

 その様子は、画像無しでおとどけします。
つぶやきカルテ2010(6月24日)
1.どんなことをしていましたか(子)

 お母さんたちとバドミントンをする子どもたちがたくさんいました。

 コースは、まずジャンプするためのデバイスがつくられていました。踏み切り板を4枚連ねて、ジャンプ、ジャンプ、ジャンプ、ジャンプとすることでつま先までピ〜ンと伸びたジャンプができたらな、というお母さんの願いのコースです。

 それから鉄棒が置かれていましたネ。その先には、支えてふわっとおしりが浮く感覚を生みだしながら、側転につないでいきたいと願うデバイスが登場しました。この一回で終わらないで、ぜひ続けていってみてください。そうすればきっと……

 そして「滑り台」という子どもたちのリクエストにこたえようと、お母さんたちは一生懸命工夫をしてつくろうとしていましたが、別のものになりました。高〜くジャンプして、跳びこえて、飛び石になったようなところを越えていくと鉄棒がありました。ジャ〜ンプした後のちょっと誇らしげな顔、見ていて楽しかったです。

 それから走っていって高いマットの上に跳び込んで前転するデバイスもありました。「できそう」だったことが、「できた」時に見つかる発見の喜びが、子どもたちの中にあったのではないでしょうか。

 そんなさまざまな願いのこもったデバイスが、それぞれ縦に配置され、子どもたちはそれぞれのデバイスの運動を思い思いにやりこんでいました。このやりこむということ、つまり頭と体が納得するまでくりかえし、理解するということはとても大事だと思います。

 それからみらいちゃんから「わたし逆上がりを頑張りたいの」という願いを伝えてもらったので、ちょっとだけヒントになるような運動をして、ちょっとだけ鉄棒でやってみました。
 本当は私は逆上がりを教えるのが得意で(っていうのも変な言い方ですが)、テレビチャンピオン(東京12チャンネル)の「逆上がり教え王」でもあったら出たいぐらいなのです(笑)。けれども、なんだか低鉄棒がまるで逆上がりをするための道具になってしまうのがいやなのと、逆上がりだけができることよりも、いろんなことができるようになっていたら逆上がりもできるようになっていたという運動の広げ方をしたいと考えているので、なんだか素直に教えなかったりします。でも逆上がりができた時の「あの感じ」は、伝えてあげたいと思っていますので、あせらずあせらず、少しずつ少しずつやっていきたいと思います。
2.どんなこと(関わり)をしていましたか(母)

 お母さんたちは、ずいぶん積極的に子どもたちの感覚のことを考え、私にもいろいろと質問や、相談をしてくれました。
 実は先日(6月23日(水)の母親講座が終わった時に、遠藤さんから「意見交換は出来ましたか?」と聞かれました。それでハッと気づいたんですよね。いつも「何かあったら言ってくださいネ」、「現場で、ライブで、生で、今ここで伝えてくださいネ」と言っておきながら、けっこうこっちばっかり一方的に伝えていて、聞く態勢がなっていなかったな……と。まるで自分の奥さんから「ちゃんと子どもの言いたいことを聞いてあげたの」と言われてしまったお父さんのような気分でした(笑)。
 
 そこで今回は、まずカメラ撮りを休みにしました。するとどんどんお母さんたちに近づいていけるし、話しかけてもらえるし、子どもたちのうんどうの様子や、デバイスの様子がたくさんたくさん見えてきます。子どもたちだっていろいろと話しかけてきてくれます。「あ〜、やっぱりこれだあ」と思ってしまいました。
 でも、このオフィスアワーでやっていることを記録に残し、みんなに伝えていくためには画像も必要だし、でもそうすると生で伝えたい感覚がうまく伝わり合えなかったりするし、自分がもう一人いればなあって感じです。
 そのへんの解決策も、少しずつお母さんたちに相談にのってもらおうと思っています。よろしくお願いしますネ。

 しかし、まなざしカルテがそれをフォローしてくれます。お母さんたちの思いをここで聞くことができるし、このブログを通して伝えることもできると思っています。

 ということで……

 じゅんこ(わ)さん、「難しく感じて手がでませんでした。」というコメント、それが感じることの第1歩かもしれません。運動の世界においても「できそうな気がしない」「なんかおかしい」というのも、何かを感じ始めた兆しとして考えています。
 そして、かなこさんのように試行錯誤がはじまるのではないでしょうか。するとなにかを見つけようとする観察の視点が具体化してきて、子どもたちの動く姿の中からもっと遠くへ跳ぶために腕が振られていることや、蹴りきった時の足先が伸びていること、それから子どもたちはとてもいい顔をしていること、そしてさらにはみんなが必ず笑っていることなどを発見できるんですネ。
 そして達人の域に近づいてくると、というよりお母さんとしてのまなざしがあると、かずよさんのように「後ろ姿にやりとげた思いが漂っていた」なんてことが見えてきてしまうんですネ。きっとこれが『愛のまなざし』なのではないでしょうか。

 それから、まさよさんが「テンポをつくっては……」なんてコメントしてくれています。これも子どもの運動感覚に近づいてきた感じがしますね。実際に側転をして感じてみたりすること、つまり感覚を体験するということを通して見えてきたこともあるのではないでしょうか。
 いずみさんの踏み切り板でジャンプ前転をしたときに、「「フワッ」と体が浮いた後に柔らかいマットにに身体が受け止められる「抱っこ」されるような気持ち良さがありました。」なんてコメントもやはりそうですよネ。(動感志向体験のような)感覚の体験が、子どもたちの運動感覚を理解するときにすごく大切なものになっているはずです。そうするとこの運動を「ポンクリン」と名付けたかんなちゃん感覚にすごく共感できるのではないでしょうか。これは今回の大発見です。
 そしてそして、みきさんのように、「足を地面に下ろす時の感覚が思ったより“ふんわり”できて気持ち良かった」みたいに、運動がうまく行われた時の心地よさを受け止められるようになってくると、子どもたちに伝えたいことも見つかってきたりします。ぜひ、いろいろ試してみましょう。

 だからといってすべてのお母さんたちに、感覚の体験をと強制するものではありません。それができないお母さんは、目からビームがでるくらいわが子にまなざしを向けておいてください。きっとそれが伝わりますから。自分に感覚がなくても、子どもを通して想像していくと見えてくることもあります。だから私は、自分のできない技も体操選手の子どもたちに教えることができています。じっくりじっくりその子(選手)の感覚と付き合っていくことで、つながり合ってくるのです。

 その時のお母さんのコンディション、それから子どもたちのコンディションに合わせてやっていきましょう。
3.運動面において気づいたこと、変化はありましたか

 前回の母親講座等を経て、またたいよう組の子どもたちは「うんどうの日」を体験して、だいち組の子どもたちは「芸術と子ども」の創発のカリキュラムに刺激を受けたりしながらまた少しずつ変化があることでしょう。
 今すぐに結果を求めず、長い長い目で見守りましょう。
 そして“ポンクリン”のような運動感覚の現われに子どもたちがどんどん気づいてくれると嬉しいですネ。これが運動形成の五位相でいう図式化(形態化)位相の「身体化」への第一歩だと思います。自分の運動のやり方は「こんな感じだよ」ということに気づいたのですから。
4.次回のオフィスアワーに向けて

 みきさんが、親も何かに挑戦してきれいにスッとできるのを体験してみたい。なんて意見がありました。この伝える側の動感志向体験というのは本当に重要な意味をもつものですから、ぜひそんなのもやってみたいですね。きっと子どもたちがいる時間だとなかなか集中してできませんから、秘密練習をしてあるときに発表なんていうのもちょっと面白いかもしれませんネ。そんな希望があれば、考えていきましょう……(年齢と体力を考慮しつつ)。

(画像がない分長々とした文章になりました。や、やばい(汗)と思いつつも、止められませんでした。最後まで読んでいただいた方、ありがとうございます)

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