うんどう

東北芸術工科大学の柳川郁生の周りで展開する『うんどう』のブログです。
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2010-07-10

つぶやきカルテ(7月 8日)

つぶやきカルテ2010(7月 8日)
 今週末は国体予選があり、金曜日から日曜日まで山形市の総合スポーツセンター(通称スポセン)で大会の役員(審判長 兼 副理事長 兼 技術委員長)を務めています。
 なのでまた多少遅れ気味ですがブログアップです。

 では、7月 8日の「つぶやきカルテ」です。
1.どんなことをしていましたか(子)

 長ーくマットをつないで走るコースができていました。そこで私(柳川)の方で提案して、踏み切り板を3つ置いて少しアクセントをつけてみました。

 お母さんたちが、子どもたちのリクエストにこたえて高い場所をつくっていました。このデバイスがねらい(願い)としている運動の感覚は……

こんなふうに跳び箱が置かれていました。この跳び箱のねらい(願い)は、開脚跳びをしてほしいのでしょうか?もしそうだとしたら、開脚跳びに必要な運動の感覚は子どもたちに伝えられているのでしょうか……

 高〜く積まれた跳び箱が置かれていました。ここでのねらい(願い)は……

 高い鉄棒にブランコがつくってあります。高い鉄棒が楽しい遊び場になりました。ではここでどんな運動の感覚が発生し、楽しめるのでしょう……
2.どんなこと(関わり)をしていましたか(母)

 
 なんだかまた注文をつけてしまいましたが、ぜひぜひ次の段階へステップアップしていきましょう。
 そのためには、まずこの「まなざし」を原点として思い出してみましょう。なんだか難しくなったり、迷ったり、よく分からなくなったら、この感じにもどってみてください。そして、またどんなことを展開していこうかなと考えてみてください。

 なんとなく理解していただけたでしょうか。

 学生たちの共通演習「芸術と子ども」の授業も、みんな真剣に考え、話し合い、子どもたちのために学生自身が深く学んでいます。「楽しければいいや」、「めんどくさいから、これぐらいでいいんじゃないの」、「大変だから、もっと簡単にしよう」そんなふうに考えている学生はいません。子どもたちをもっともっと楽しませるため、「うんどう」の感覚をもっともっと楽しんでもらうため、今月はほぼ毎日のように研究室の周辺でワークショップの準備作業をしています。子どもたちのためになにかをしようとしていることが、自分たちのためのなにかになっているんですネ。だから集まって作業することがさほど苦じゃなくなる(たぶん)ようです。

 なにかを伝えるということは、とても地道で大変なことですが、まだまだオフィスアワーは後期も続きますので、じっくりと取り組んでいきましょう。学生は半期の勝負ですが、お母さんと子どもたちには3年間もあるのですから。

 今回ひとつだけ柳川式の工夫を入れてみました。
1・2・3・4・5・6・7・8・ジャンプ!
1・2・3・4・5・6・7・8・ジャンプ!
1・2・3・4・5・6・7・8・ジャンプ!
って感じのリズムで踏み切り板を設置していくと、子どもたちのストライド(歩幅)を広げられるんじゃないかな。そのためには、それぞれの踏み切り板同士の間隔を同じにするのではなく、ちょっとずつ広げておけば同じリズムで走るなかで自然とストライドが広がるのではないかなと思ってセットしてみました。
 すると子どもたちは、するするといきおいをつけて走ることができたのではないでしょうか。ただ単に走ることであっても、何となく体の感覚の中に心地よさがつくられていくことに気がつくと楽しくなってきます。だから何度もくりかえし走っていき、少しずつ軽やかになる自分の走りを実感することができたのではないでしょうか。この感じを動感志向体験といい、子どもたちが自分たちの運動感覚と向き合って運動している現象としてとらえています。

(いろいろ質問もありましたが、速く走るための工夫ではありません。あくまでも心地よく走るための工夫をしたつもりでいます。「かけっこは速く走る」という根強い概念は、今ここでは考えていません。)
3.運動面において気づいたこと、変化はありましたか
4.次回のオフィスアワーに向けて

 もう夏休みに入ってしまいますが、またじっくりとわが子の運動にまなざしを向けて、形としての場づくりではなく、おたがいの願いをかなえる場づくりを目指していきましょう。
 そしてまたいろいろな疑問もでてくると思います。さまざまな悩みも生まれてくると思います。だって柳川がいつもそうですから。
 うまくいかなければ「どうしたらいいのか」何日も悩み、うまくいっていれば「本当にこれでいいのか」と悩み、常に悩んでいます。だけどそれが「考えること」だと思うようにしているので、なるべく逃げないように悩むことにしています。
 ぜひぜひみなさんも一緒に悩み(考え)ましょう。みんなで考えればきっと悩みではなくなってくるはずです。

 なんて、なんの話をしていたのでしょう、今回のつぶやきは……

 なんとなくまきこさんの‘つぶやき’に影響されてしまったかな。でもわが子に向けていたはずのまなざしが、なぜかつながっていってしまうのがこのこども芸大のオフィスアワーです。
 お母さんたちの背中の上を、あの笑顔で子どもたちが転がるためには、みんながつながっていないとできないことだったりします。ぜひぜひ何が見えてくるのか、様子をうかがってみましょう。ということで……
 今回のお母さんたちが準備したものは、少しねらいというよりも『願い』という意味でなんだかあいまいだったのではないでしょうか。子どもたちに「こんな運動をしてほしい」、「こんな運動の感覚を楽しんでほしい」、「あんな運動ができるようになるために、こんなことをしてみてほしい」など、具体的な『願い』のないまま場づくりが終わってしまっていたのではないでしょうか。
 ブランコを置いて、鉄棒を置いて、山をつくって、そしてシーソーを置いたり、砂場をつくったりしたら楽しい公園ができ上がります。きっと子どもたちは喜びます。
 でもこのオフィスアワーは、『うんどう』の場をつくります。子どもが喜ぶではなく、子どもたちが運動の感覚を楽しむことをねらいとして、そしてさらに新しい運動感覚との出会うことでさらに運動が楽しくなることが願いであり、そこに立ち会うお母さんたちと子どもたちがその喜びを共有することをテーマとしています。

 子どもたちはこのオフィスアワーに喜んできてくれるようになりました。運動する力も育ってきました。工夫をする志向性も育ってきました。
 ですからそろそろお母さんたちもここで考え方に工夫をしていかないと、子どもたちの育ちを応援できなくなってしまいます。またお母さんたちを悩ませてしまうことになりますが、ここで考えることをするのか、このまま楽しいだけのままにしておくのかで、せっかくここまで来たお母さんたちの取り組みを深めていくことができるかどうかに大きく影響をします。ぜひここでチャレンジして、子どもたちと一緒に楽しい『うんどう』の世界を展開していきましょう。

 いつでも私にとってこのワークショップの始まりの風景はこんな感じなのです。この春にこども芸大を卒業した子どもたちがほし組のときの情景と同じことが、今ここにもあります。変わらないこの情景が、このオフィスアワーでつくられたひとつの宝物だと思っています。

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